小児科(診療案内)
小児かぜ症候群(子どもの風邪)
病気について
子どものかぜの約9割はウイルス感染が原因です。子どもは免疫システムが発達途中にあるため、保育園や幼稚園、学校などで様々なウイルス(ライノウイルス、RSウイルス、腺ウイルスなど)をもらい、年間で6〜8回(多い子はそれ以上)かぜを引くのはごく自然なことです。
- 主な症状
鼻水、鼻づまり、咳、喉の痛み、発熱などです。子どもは鼻の奥と耳をつなぐ管が短く横になっているため、かぜから中耳炎を合併しやすい特徴があります。 - 受診の目安
かぜの症状に加えて、「息をするときにゼーゼーしている」「機嫌が悪く、水分が全く摂れない」「ぐったりして目が合わない」といった様子が見られる場合は、早めに受診してください。
主な診断方法
基本的には、問診と身体診察(胸の音を聴く、喉の腫れを見る、耳をチェックする)によって診断します。
- 視診・聴診
喉の赤みや、肺の音に異常(喘鳴など)がないかを確認します。 - 検査(必要に応じて)
症状が長引く場合や周囲で流行している場合は、インフルエンザや新型コロナ、RSウイルス、溶連菌などの迅速検査を組み合わせて行います。
主な治療・ホームケア
特効薬はないため、症状を和らげる「対症療法」と「自宅での看病」が中心になります。
- 薬物治療
咳を出しやすくする薬(去痰薬)、鼻水を抑える薬、必要な場合にのみ解熱剤を使用します。※ウイルス性の通常のかぜに抗生物質(抗菌薬)は効きません。 - 自宅でのケア(最も大切です)
- 水分補給:一度にたくさん飲むと吐いてしまうことがあるため、お水や麦茶、経口補水液を「こまめに、少しずつ」飲ませてください。
- 鼻吸い:乳幼児は自分で鼻をすすれません。市販の鼻吸い器などでこまめに吸引してあげると、呼吸がラクになり、中耳炎の予防にもなります。
急性中耳炎(きゅうせいちゅうじえん)
病気について
急性中耳炎とは、かぜを引いたときなどに、鼻や喉の奥にいる細菌やウイルスが耳の奥(中耳)に入り込み、急激な炎症を起こして膿(うみ)が溜まる病気です。
乳幼児は、鼻と耳をつなぐ「耳管(じかん)」が太く、短く、水平に近いため、鼻水の中のバイ菌が簡単に耳へと移動してしまいます。3歳までに約7〜8割の子どもが一度は経験すると言われています。
- 主な症状
激しい耳の痛みと発熱です。言葉で痛みを訴えられない赤ちゃんの場合、「不機嫌で泣きやまない」「激しくぐずる」「何度も耳に手をやる、こする」といった行動がサインになります。炎症が進むと、鼓膜が破れて耳からドロドロした液体(耳だれ:耳漏)が出てくることもあります。
主な診断方法
耳の穴の中を詳しく観察して診断します。
- 耳鏡(じきょう)検査
専用の器具や耳内視鏡を使って鼓膜を観察します。中耳炎になると、正常なら透明感のある鼓膜が「赤く腫れ上がり、内側に膿が溜まって外側に膨らんで」見えます。
主な治療・ホームケア
年齢や症状の重症度(ガイドライン)に合わせて治療法を選択します。
- お薬による治療
軽症であれば、解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)で痛みを和らげながら経過をみます。中等症以上、または2歳未満の乳幼児で治りにくい場合は、原因菌を退治する抗生物質(抗菌薬)を数日間きっちり服用します。 - 鼓膜切開(重症の場合)
鼓膜が激しく腫れて痛みが強い場合や高熱が続く場合は、鼓膜をほんの少しだけ切開して、中に溜まった膿を直接排出する処置を行うことがあります(切開した傷は数日で自然に閉じます)。 - 自宅でのケア
耳を痛がるときは、耳の後ろあたりを冷たいタオルなどで冷やしてあげると痛みが少し和らぎます(お風呂は控えめにし、温めないようにしてください)。
溶連菌感染症(ようれんきんかんせんしょう)
病気について
溶連菌(A群β溶血性連鎖球菌)という細菌が、喉に感染して激しい炎症を起こす病気です。5〜15歳くらいの学童期のお子さんに多く見られ、学校や家族内で感染が広がりやすい特徴があります。
- 主な症状
「突然の38〜39℃の高熱」と「喉の激しい痛み」です。かぜと違って、咳や鼻水がほとんど出ないのが特徴です。また、舌にブツブツができて赤く腫れる「イチゴ舌」や、全身(特にお腹や手足)に細かい赤い発疹が出たり、吐き気を伴ったりすることもあります。 - 放置した場合のリスク
治療を途中でやめたり放置したりすると、感染から数週間後に「急性糸球体腎炎(じんえん)」や「リウマチ熱」といった深刻な合併症を引き起こすことがあります。
主な診断方法
喉の様子を観察し、迅速キットを用いてその場で確定診断を行います。
- 溶連菌迅速抗原検査
喉の奥を綿棒でこすって粘液を採取します。10〜15分程度で結果が分かります。 - 視診
喉の奥(扁桃腺)が真っ赤に腫れ、白いおカス(膿)がベッタリ付着しているかを確認します。
主な治療・ホームケア
細菌の感染であるため、抗生物質(抗菌薬)による治療が必須です。
- 抗生物質の服用(最重要)
溶連菌に効果のある抗生物質を服用します。お薬を飲み始めると1〜2日で驚くほど熱が下がり、喉の痛みも消えますが、「症状が消えても、指示された期間(通常5〜10日間)必ず最後までお薬を飲み切る」ことが鉄則です。途中でやめると、前述の腎炎などの合併症リスクが残ってしまいます。 - 食事の工夫
喉の痛みが強いため、熱いもの、酸っぱいもの、辛いものは避けます。冷たいゼリー、プリン、アイスクリーム、スープ、冷ましたおかゆなど、喉越しの良いものを与えてください。 - 登校・登園の目安
抗生物質を飲み始めてから24時間が経過し、熱が下がっていれば登校(登園)が可能です。
咽頭結膜熱(プール熱)
病気について
咽頭結膜熱とは、アデノウイルスという感染力の非常に強いウイルスに感染することで起こる病気です。かつて夏のプールを介して流行することが多かったため「プール熱」とも呼ばれますが、プールに入らなくても、咳やくしゃみ(飛沫感染)や、タオルの共用(接触感染)などで1年中感染がみられます。
- 主な症状(3大症状)
- 高熱:38〜40℃近い高熱が、4日〜1週間ほど比較的長く続きます。
- 咽頭炎:喉が真っ赤に腫れ、激しく痛みます。
- 結膜炎:目が真っ赤に充血し、目やに(眼脂)がたくさん出たり、光をまぶしがったりします。通常は片目から始まり、もう片方にも広がります。
主な診断方法
症状の特徴を確認し、迅速検査キットを用いて診断します。
- アデノウイルス迅速検査
喉の奥を綿棒でこするか、結膜(目の粘膜)をこすって細胞を採取します。15分程度で結果が分かります。
主な治療・ホームケア
アデノウイルスに効く特効薬(抗ウイルス薬)はないため、熱や痛みを和らげる「対症療法」を行いながら、自分の免疫力でウイルスが抜けるのを待ちます。
- 薬物治療
高熱や喉の痛みがつらい場合、アセトアミノフェン(解熱鎮痛薬)を適切に使用します。目の症状に対しては、必要に応じて点眼薬(目薬)を処方します。 - 自宅でのケア
高熱が長引き、喉の痛みで水分が摂りにくくなるため、脱水症への警戒が最も重要です。イオン飲料や経口補水液、冷たいスープなどを少しずつ何度も飲ませてください。タオルの共有は家族内感染の原因になるため、必ず別々にしてください。 - 出席停止期間
学校保健安全法により、「主要症状(発熱、目の充血、喉の痛み)が消えた後、2日を経過するまで」は学校や保育園を休む必要があります。
手足口病(てあしくちびょう)
病気について
手足口病は、主にコクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどの感染によって起こる、夏の代表的なウイルス性感染症(夏風邪の一種)です。5歳以下のお子さんが患者の約9割を占めます。
- 主な症状
その名の通り、「手のひら、足の裏、口の中(粘膜)」に2〜3mmの水疱(水ぶくれ)を伴う赤い発疹が出ます。お尻やひざに出ることもあります。熱は出ないか、出ても38℃以下で1〜2日で下がることがほとんどです。 - 注意すべきリスク
手や足の発疹はあまり痛がりませんが、口の中の水ぶくれが破れて口内炎(潰瘍)になると激しく痛みます。よだれが多くなり、痛みのせいで水分や食事が全く摂れなくなることによる「脱水症」に注意が必要です。また、非常に稀ですが、ウイルスが脳に侵入して髄膜炎や脳炎を起こすことがあるため、高熱や激しい嘔吐には注意してください。
主な診断方法
特別な検査は行わず、特徴的な発疹の場所と現れ方を見ることで、診察室で診断が可能です。
- 視診
口の中、手のひら、足の裏に特有の水疱があるかを確認します。原因ウイルスが複数あるため、一度かかっても別のウイルスでまたかかることがあります。
主な治療・ホームケア
ウイルスに対する根本的なお薬はないため、自然に治るのを待つ対症療法となります。発疹は1週間〜10日ほどで自然に消え、跡も残りません。
- 食事の工夫(最重要)
喉や口の中がしみないよう、熱いもの、酸っぱいもの(みかんなど)、塩辛いものは避けます。冷たい牛乳、麦茶、バニラアイス、ゼリー、冷ましたスープ、豆腐など、噛まずに飲み込めるものを与えてください。 - 登校・登園の目安
熱が下がっており、口の中の痛みが落ち着いて普段どおりの食事が摂れていれば、発疹が残っていても登園・登校して構いません(ウイルスは便などから数週間排出され続けるため、一律の出席停止期間はありません)。
ヘルパンギーナ
病気について
ヘルパンギーナは、手足口病と並ぶ夏の代表的な「夏風邪」のウイルス感染症です。主にコクサッキーウイルスが原因で起こります。
- 主な症状
突然の「38〜39℃を超える高熱」とともに、「喉の奥(軟口蓋:なんこうがい)に小さな水疱やただれ(口内炎)」がたくさんできるのが特徴です。手足口病とは異なり、手や足には発疹は出ません。喉の奥の痛みが非常に強いため、赤ちゃんの場合は急に激しく泣いておっぱいを拒否したり、よだれを流し込んだりします。熱は通常2〜3日で下がります。
主な診断方法
手足口病と同様に、特別な検査は行わず、喉の奥の診察によって診断します。
- 視診
お口を大きく開けてもらい、喉の奥の天井や突き当たり付近に、特有の赤いハロー(輪)を持った水疱や潰瘍ができているかを確認します。
主な治療・ホームケア
特効薬はないため、痛みを和らげながら脱水を防ぐホームケアが治療の中心となります。
- 薬物治療
喉の痛みが強く、水分が摂れないほどつらい時間を減らすため、アセトアミノフェンの座薬や飲み薬(解熱鎮痛薬)を適切に使用して痛みをコントロールします。 - 自宅でのケア
手足口病と同様に、喉にしみない冷たくて喉越しの良い水分・流動食をこまめに与えます。 - 登校・登園の目安
熱が完全に下がり、喉の痛みが和らいで普段どおりの水分や食事が摂れるようになれば、登園・登校が可能です。
クループ症候群
病気について
クループ症候群とは、かぜのウイルス(パラインフルエンザウイルスなど)が、喉の奥の「喉頭(こうとう:声帯のあたり)」に感染し、そこが激しく腫れて空気の通り道が狭くなってしまう病気です。
生後6ヶ月〜3歳くらいの小さな子どもは、もともと気道が細いため、少し粘膜が腫れただけで呼吸が苦しくなりやすく、夜間に急激に症状が悪化する特徴があります。
- 主な症状(特徴的な咳と声)
- オットセイや犬が吠えるような咳(「ケン・ケン」「ボォ・ボォ」という響く咳)
- 声がかすれる(嗄声:させい)
- 息を吸うときに「ヒュー、ヒュー」と音がする(吸気性喘鳴)
主な診断方法
特徴的な「咳の音」と、呼吸の苦しさの程度を診察して診断します。
- 臨床診断(聴診・視診)
咳の音を聴けば、医師はすぐにピンときます。また、息を吸うときに鎖骨の上や肋骨の間がペコペコ凹む「陥没呼吸(かんぼつきゅうきゅう)」が起きていないかを確認し、重症度を評価します。
主な治療・ホームケア
喉頭の「腫れ」をできるだけ早く引かせて、空気の通り道を確保する治療を行います。
- 医療機関での処置
吸入器(ネブライザー)を使って、気管支を広げる薬やステロイド薬を霧状にして直接吸入させます。これにより、多くの場合は短時間で劇的に呼吸がラクになります。 - 薬物治療
腫れをしっかり抑えるため、ステロイドの飲み薬やシロップを1〜2回分処方することがあります(短期間の使用なので副作用の心配はありません)。
夜間に緊急受診すべきサイン
「息を吸うときにヒューヒューと音が鳴り止まない」「横になれず座って苦しそうにしている」「唇や爪の色が紫〜白っぽい(チアノーゼ)」といった症状がある場合は、窒息の危険があるため、夜間であっても一刻も早く救急外来を受診、または救急車を呼んでください。
RSウイルス感染症
病気について
RSウイルス感染症とは、RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)による呼吸器の感染症です。非常に感染力が強く、2歳までにほぼ100%の子どもが少なくとも一度は感染します。
大人がかかるとただの鼻かぜで終わりますが、「乳幼児(特に生後数ヶ月〜1歳未満の赤ちゃん)」が初めて感染すると、ウイルスの炎症が肺の細い枝分かれ(細気管支)まで広がり、細気管支炎(さいきかんしえん)や肺炎を起こして重症化しやすいのが特徴です。
- 主な症状
最初は鼻水や軽い咳から始まりますが、2〜3日経つと咳が激しくなり、呼吸をするたびに「ゼーゼー、ヒューヒュー」という音がするようになります。熱は出ることも出ないこともあります。 - 特に注意が必要な赤ちゃん
生後3ヶ月未満の赤ちゃん、早産で生まれたお子さん、生まれつき心臓や肺に持病があるお子さんは、呼吸不全(息が止まってしまう無呼吸発作など)を起こして入院加療が必要になるリスクが非常に高いです。
主な診断方法
喉や鼻の奥の粘液を採取して、迅速検査を行います。
- RSウイルス迅速検査
鼻の奥を綿棒でこすります。10〜15分程度で結果が分かります。※健康保険が適用されるのは、「1歳未満の乳幼児」や「入院が必要と判断される場合」などの基準があります。
主な治療・ホームケア
RSウイルスに対する根本的な特効薬(抗ウイルス薬)はありません。かぜと同様に対症療法を行いながら、呼吸の苦しさを和らげる看病を行います。
- 薬物治療
痰を出しやすくする薬や、気管支を広げる貼付薬(ホクナリンテープなど)や吸入薬を使用します。 - 自宅でのケア
鼻水が詰まるとさらに呼吸が苦しくなり、ミルクが飲めなくなります。家庭用のお鼻吸引器でこまめに鼻水を吸ってあげることが何よりの治療になります。 - 受診の目安
お腹をペコペコさせて息をしている、ミルクを飲む元気がなくぐったりしている場合は、すぐに受診してください。
感染性胃腸炎(子どもの嘔吐下痢症)
病気について
子どもの感染性胃腸炎は、ウイルス(ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなど)が口から入ることで、胃や腸に激しい炎症を起こす病気です。冬から春にかけて大流行します。
- 主な症状
ある日突然、激しい嘔吐から始まります。半日ほど何度も吐き続け、その後遅れて「水のような下痢(水様便)」や腹痛、発熱がみられるようになります。 - 最大の危険:脱水症
小さな子どもは体の中の水分量が多いため、嘔吐と下痢によって簡単に水分が失われ、短時間で「脱水症」に陥ります。
主な診断方法
周囲の流行状況や、症状の経過(吐き気から下痢への移り変わり)を詳しく確認する臨床診断が基本です。
- 身体診察
子どもの機嫌、目がトロンとしていないか、泣いたときに涙が出るか、おしっこが半日以上出ていないか、などを診て脱水の程度を厳しく評価します。 - 糞便検査(必要に応じて)
ロタウイルスなどの一部のウイルスは、迅速キットで便から検出可能ですが、治療方針自体は変わらないため、必須ではありません。
主な治療・ホームケア
吐き気止めなどを補助的に使いつつ、「お家での正しい水分補給」が治療のすべてになります。
- 最重要:吐いた直後の水分補給のコツ
子どもが吐いた直後は、胃が激しく興奮しています。ここで慌てて水分をグイグイ飲ませると、その刺激でまた確実に吐いてしまいます。- 吐いた後は、最低でも30分〜1時間は何も飲ませず、胃を完全に休ませます(口をゆすぐ程度はOK)。
- 落ち着いたら、経口補水液(OS-1など)を、まずは「スプーン1杯(約5ml)」だけ飲ませます。
- 15分ほど様子を見て吐かなければ、もう1杯。それをクリアしたら、量を少しずつ(ペットボトルのキャップ1杯分などへ)増やし、10〜15分おきに「ちびちび」と飲ませていきます。
- 薬物治療
吐き気が強くて水分が全く摂れない場合は、吐き気止めの座薬(ナウゼリンなど)を使い、30分以上経ってから上記の水分補給を開始します。腸の動きを正常にする整腸薬も併用します。強引に下痢を止める下痢止めは、バイ菌を体内に閉じ込めてしまうため使いません。
小児の気管支喘息(ぜんそく)
病気について
子どもの気管支喘息は、空気の通り道(気管支)に慢性的な炎症が続くことで、気道が敏感になり、何らかの刺激で気管支がキュッと狭くなって呼吸が苦しくなる病気です。
子どもの喘息の約9割は、ダニ、ハウスダスト、ペットの毛、花粉などのアレルギー物質(アレルゲン)が原因です。これにかぜ(ウイルス感染)、冷たい空気、タバコの煙、激しい運動などが重なることで、発作が引き起こされます。
- 主な症状
息をするときに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と胸から音がする(喘鳴:ぜんめい)、長引く激しい咳、息苦しさです。特に夜間から明け方にかけて症状が出やすくなります。 - 年齢による変化
乳幼児期の喘息は、成長して体が大きくなり気管支が太くなるにつれて、小学校入学前(6歳前後)までに約7割近くのお子さんが自然に治る(寛解する)と言われています。しかし、正しい治療を行わずに発作を繰り返していると、気道が硬くなって大人になっても喘息が残ってしまう原因になります。
主な診断方法
子どもの喘息は、他の「ゼーゼーする病気(RSウイルスなどの細気管支炎など)」との見極めが必要なため、経過を慎重に観察して診断します。
- 問診と聴診
「ゼーゼー」を何度も繰り返しているか(目安として3回以上)、夜間にひどくなるか、家族にアレルギー体質の人がいるかを確認し、胸の音を聴きます。 - 血液検査
幼児期以降では、何に対するアレルギーがあるかを調べるために特異的IgE抗体検査を行うことがあります。 - 呼吸機能検査(小学生以上)
息を吐き出す力を機械で測定します。
主な治療・ホームケア
大人の喘息と同様に、「発作が起きたときだけ止める薬(リリーバー)」と、「発作を防ぐために毎日使う予防薬(コントローラー)」をしっかり組み合わせてコントロールします。
- 毎日使う予防薬(コントローラー)
症状がないときも毎日継続し、気道の炎症の火種を消し続けるためのお薬です。- 抗ロイコトリエン薬:アレルギーを抑え気管支を広げる飲み薬(プランルカスト、モンテルカストなど)で、子どもにとてもよく使われます。
- 吸入ステロイド薬:専用の吸入器(スペーサーというマスク型の補助器具など)を使い、ごく少量の薬を直接肺に届けます。全身への副作用はほとんどなく安全です。
- 発作のときに使う薬(リリーバー)
急にゼーゼーして苦しくなったときに、一時的に気管支を広げる吸入薬(メプチンなど)や飲み薬を使用します。 - 自宅でのケア
発作が起きたときは、衣服を緩めて縦抱き(または座らせる)の姿勢にすると、横になるよりも呼吸が少しラクになります。こまめに水分を摂らせて、痰をサラサラにして出しやすくしてあげましょう。
突発性発疹(とっぱつせいほっしん)
病気について
ヒトヘルペスウイルス(6型や7型)というウイルスに初めて感染することで起こる病気です。生後6ヶ月〜1歳前後の赤ちゃんが「人生で初めて出す高熱」として非常に有名です。
- 主な症状:「熱が下がってからブツブツが出る」
何の前触れもなく、突然38〜39℃を超える高熱が出ます。高熱のわりには鼻水や咳はほとんどなく、赤ちゃん自身も比較的元気におもちゃで遊んでいたり、おっぱいを飲めたりすることが多いです。熱は3〜4日間ほど続いた後、ストンと平熱まで下がります。それとほぼ同時に、お腹や背中、顔にバラ色の細かい発疹(ブツブツ)が全身に広がります。発疹はかゆみがなく、3日ほどで跡を残さずに自然に消えます。 - 「不機嫌病」と呼ばれる理由
熱が出ている間よりも、「熱が下がって発疹が出始めてからの数日間」の方が、赤ちゃんがこれまでにないほど激しくぐずり、不機嫌になることで知られています。これは病気が治りかけている証拠(ウイルスの影響で一時的に神経が過敏になっているため)ですので、数日の辛抱です。
主な診断方法
特徴的な「経過」を見て、後から振り返って確定診断を行います。
- 経過による臨床診断
熱が出ている段階では、他のかぜや感染症との区別がつきません。「高熱の割に元気だな」と予測を立てつつ、「熱が下がった瞬間に発疹が出てきた」という事実を確認して初めて、診察室で「突発性発疹でしたね」と診断が確定します。
主な治療・ホームケア
ウイルスに対する特効薬はないため、お家で優しく見守る対症療法のみとなります。
- お薬の治療
熱が上がっていく途中で赤ちゃんがとてもきつそうにしている場合のみ、アセトアミノフェンの解熱剤(座薬など)を使用します。 - 自宅でのケア
- 熱がある間は、脱水を防ぐために母乳やミルク、幼児用イオン飲料をこまめに与えます。
- 熱が下がった後の「不機嫌期」は、抱っこをしてあやしても泣き止まないことが多く、親御さんが精神的に疲弊してしまいがちです。「病気のプロセスのひとつで、あと1〜2日で必ず元に戻る」と知っておくだけで気持ちがラクになります。周囲の手を借りながら、優しく寄り添ってあげてください。